鳥取夜景
画家 藤田美希子さんが鳥取各地を巡りながら描いた7つの夜景。そのひとつひとつにコピーライターwakrucaさんが物語をつけて一冊の本が生まれました。今回はその本の中を歩くように絵と物語を体感できる空間を作ります。現実と空想を行き来するような不思議な世界をお楽しみください。
2023/01/23 レポート
芸術祭開催中の11月21日、クチュールシカノにて「鳥取夜景」の朗読会が開催されました。展示の終了後、辺りも暗くなった17:00ごろから予約のお客さまが会場に入り朗読会が始まりました。会場の奥にある森のまんなかに机と木の切り株が今回の朗読会の舞台です。
まず初めに「鳥取夜景」の本の作者である藤田美希子さんとwakrucaさんが今回の企画が始まった経緯や本の制作プロセスなどについて語りました。
そしていよいよ刺繍造形アーティストのみたにさやかさんが登場。彼女は今回の朗読のために藍色に染めた衣装を身にまとい本を朗読してくれました。みたにさんが森に置かれた木の切り株にゆっくりと腰かけ、ティンシャの小さな鐘が会場に鳴り渡ると静かに朗読が始まりました。本番の張り詰めた空気の中、みたにさんの柔らかく澄んだ声が会場に広がります。一言、一言、ゆっくり読み進められる言葉を追いかけながら、お客さまひとりひとりがそれぞれのイメージを膨らませていく。辺りも暗くなった夜の鹿野に豊かな時間が流れていきます。
朗読後、みたにさやかさんに話を聞くと朗読中、本を持つ腕から鳥肌のようなものがびりびりと全身を巡るのを感じたり、朗読の途中で物語の主人公の気持ちに入り込んで泣きそうになるのをこらえながら読み進めたり、彼女の中でいろいろな感覚を感じたとても貴重な時間だったそうです。
本の中にある4篇の物語を読み終えて朗読会は終了。その後も何人かのお客さまは会場に残られて改めて作品を観たり、朗読会の感想を語り合ったりしていました。コロナ以降、みんなが同じ空間で何かを共有しながら鑑賞するということ機会が減っていたということもあり、今回の朗読会はとてもよい機会になりました。すばらしい朗読を披露してくださったみたにさやかさん、そして平日の夜にも関わらず会場に足をお運びくださったみなさま、本当にありがとうございました。
文章:wakruca/写真:青木幸太