PROGRAM B

アーティスト 山本晶大さんが鹿野に住むみなさんから地元にまつわるさまざまなお話をヒアリング。そこから得たインスピレーションをもとに作品制作するプログラムです。ウェブサイトでは集まったさまざまな声や地元の方々とのやり取りを紹介していきます。

インタビュー / wakruca

そもそも、鹿野との関わりはどのように始まったのですか?

 私は普段「家」や「空間」を用いた表現活動を行なったり、古民家のリノベーションや店舗の内装などを仕事として引き受けたりしています。そのような活動を行うきっかけとなったのが、広島県にある尾道市立大学の美術学科に入学して間もなく尾道空き家再生プロジェクト ( 通称 空き P) に関わり、尾道市街の斜面地にある空き家を表現の場として活用しはじめたことによります。鹿野町の存在も尾道の空き Pと いんしゅう鹿野まちづくり協議会との間につながりがあったことから知りました。初めて鹿野町を訪れたのは 2013 年に空き Pが行なった鹿野町への視察旅行に同行したときだったと思います。カラリとした瀬戸内とは違うしっとりとした空気と、赤い石州瓦屋根の古民家が並ぶ城下町の風情がとても美しく印象的で、いずれここで滞在制作を行えたらと考えていました。大学卒業後もしばらく尾道で活動したあと、ドイツに渡って2015 年から 2018 年にかけてベルリンを中心に活動し、鹿野芸術祭を始めるきっかけとなった鹿野移住者の藤田美希子さんともドイツにいる間に知り合いました。2017 年には藤田美希子さんを含むドイツで活動されている人たちと一緒に鹿野を訪れ、急な思いつきで田中邸にてみんなで展示を行うこととなり、「目目連」という作品を展示させていただきました。

2年前の鹿野芸術祭にも参加されましたね?

 2018 年に展示させていただいた「空き家と雨と虫」では、殿町にある空き家を使わせていただき、インスタレーションという現代アートの手法を用いて、雨漏りしている空き家の中に虫やカエルやヤモリの巣ができたり、植物やきのこが生えてきたりしている様子を表現しました。私は作品や仕事を通して空き家を改修したり解体したりということを行っていますが、現実には活用も解体もされずに放置される空き家が多数あり、そういった空き家を前にしてどうにかできないかと悩むことも少なくありません。使わせていただいた空き家も、倉庫として使われていたものの雨漏りがひどくなり、これ以上の活用が難しくなっていました。しかし、「人間の都合」という考えから離れて放置される空き家を見てみたら、空き家が人間にとっては問題でしかなくても、他の生き物にとっては海の中の沈没船のように外敵から身を隠すことのできる安全地帯な のかもしれません。空き家を人間と他の生き物たちとの共有地点の一つとして捉えることもできるのではないか、そしてそこには「人間だけの社会」にはない美しさがあるのかもしれないと考え、言葉だけでなく視覚的な美しさや肌で感じられるものも含めて表現したものが「空き家と雨と虫」という作品になります。

今年の芸術祭のプログラムについて教えてください。

 今回の 2020 年の鹿野芸術祭でも鹿野町に滞在しながら空き家などの空間を用いた作品を作ることを考えていたのですが、新型コロナウィルスの影響により、いつものように滞在制作をして展示・発表をするということができなくなってしまいました。
ですが、滞在制作や空き家での展示はあくまで表現するための手段であって、展示ができなくなったからといって何かを表現することまでできなくなったわけではありません。
そこで、今回は「鹿野採話集」と題してこのように紙面とインターネットを通して鹿野の方達と交流しながらお話を集めて、そこから得た着想をもとに作品を作ることを試みたいと思います。どんな作品ができるかは自分でもまだわからないのでドキドキです。鹿野に伝わる伝説や歴史に残る出来事は調べたら知ることができますが、子供の頃に聞いた鹿野の伝説が自分にどんな印象や影響を与えたかという経験や、歴史に載っていないような日常の中の些細な出来事はそれを覚えている人からお話を聞くことができなければ、いずれ忘れ去られていきます。そんなお話しのいくつかを掬い上げ、ここで紹介して共有したり、作品の中に反映させたりできればと思います。

投稿する方に何かメッセージはありますか?

 とりあえずはラジオや新聞への投稿、もしくは手紙を書くように、あなたが鹿野での生活で感じていることや、鹿野に残っている伝説、思い出、おじいさんおばあさんから聞いた昔の鹿野のことなど、鹿野にまつわるお話しをメールや投書で送っていただけると嬉しいです。また、私への質問もあればお答えできるものであればお答えしたいと思います。お話を送る際にはこの紙面やネット上に公開してもよいかどうか明記してくださると助かります。公開しても構わない場合は、鹿野芸術祭レターやホームページにお話を紹介させていただいたり、そこから連想した話を書かせていただいたりする予定です。聞いてもらいたいけど公開されるのは嫌だという場合や、公開しても構わないかどうか分からない場合は公開しませんのでご安心ください。匿名で送っていただいてもかまいません。送っていただく内容は個人的なことや些細なことでも大丈夫です。むしろ、今回のこのやり取りの中では、そういった個人的で些細な日常のお話しを拾い集めていけたらと思います。

投稿を作成します
鹿のポストから メールから