3年ぶりの開催となった今年の芸術祭には、県内外からたくさんのお客さまに来ていただき本当にうれしく思います。リサーチと制作に長い時間をかけて準備してきた分、それぞれのプログラムの完成度が上がり、内容的にもより豊かなものになりました。
鳥取のさまざまな夜景を丁寧に描きながらひとつひとつ物語を紡いでいった「鳥取夜景」、鹿野のみなさんの声を聞きながらのフィールドワークを経てその歴史を深く掘り下げた「牛をひく、鹿野にて」、鹿野のさまざまな原風景を撮りながらロードムービーのような作品に仕上げた「Twilight」、鹿野の歴史を元にして新しい表現方法でパラレルワールドを作り上げた「おでん屋 汽笛」、そして鹿野に暮らす子どもたちが物語を空想しながら本にした「鹿野学園3年生の本棚」。特に今年の作品は、鳥取や鹿野というものを深く見つめこの土地との関わりを強く感じさせるものが多かったように思います。また絵画や小説、映像作品からインスタレーションに立体作品など表現の幅はさらに広がりながら、それぞれの作品が「物語が眠るまち」という今回のテーマに向かって表現されたいたように感じました。開催から7回目を迎える鹿野芸術祭の、ある意味集大成のような回になったのではないでしょうか。
また期間中には鹿野芸術祭前夜祭、アーティストトーク、大絵巻絵画「Forest」の対話型鑑賞会、鳥取夜景の朗読会、「牛をひく」上映会&ピザパーティなどさまざまなイベントを開催。たくさんのお客さまにお越しいただき、それぞれの場所で楽しい時間を過ごされたようです。
ようやく開催できた今年の芸術祭は参加アーティスト、運営チーム、出店者さん、サポーターさん、そして来場していただいたお客さま、みんなで作ったひとつの大きな作品のようだったように思います。そして例年と同様に今回も鹿野町のみなさんに多くのご理解とご協力をいただきながら無事に芸術祭を終えることができました。この芸術祭に関わってくださったみなさんに深く感謝します。本当にありがとうございました。
文章:wakruca/写真:青木幸太