秘密基地をつくろう 宮原翔太郎with鹿野学園3年生

鹿野学園3年生のみんなで城山周辺を散策し、木や草を使って自分たちだけの秘密基地をつくるプログラム。さて城山にどんな基地が現れるかな?


講師から鹿野学園3年生の皆さんへの手紙

2021/12/08 レポート

9月に鹿野学園3年生とのワークショップが行われました。
今年は講師に、浜村で喫茶ミラクルやhama villaなどを展開する大工の宮原翔太郎さんを迎え、鹿野の城山に「秘密基地」をつくりました。講師の宮原さんから、一緒に参加してくれた3年生に向けてお手紙が届きました!
宮原さんがMCをする「浜村温泉ラジオ」で動画もご覧いただけます。(鹿野芸術祭実行委員会より)


鹿野学園3年生の皆さんお久しぶりです。
ボス(授業当日、児童からそう呼ばれていました)です。ボスは今回みんなと城山を歩き回り、木や草を集め、その材料を使って秘密基地を作るという授業の先生をさせてもらいました。ボスにとってもみんなの言動や興味の持ち方がとても新鮮で、先生という立場でありながら学ぶ事が多くありました。みんなにとってはどんな2日間になりましたか。ボスはみんなに伝えたい事が沢山あったのですが伝えきれなかったので、ここに文章で残しておきます。いつか目に留まる機会があれば嬉しいです。

さて、ボスは日頃から秘密基地ばかり作っているわけではなく普段は建築の仕事をしています。建物を築くと書いて「建築」です。詳しく言うと飲食店などの内装を作るのがメインで、みんなの住んでいるような住宅を作ることもあります。人間の暮らしについてずっと考えています。とても楽しい仕事です。そんな建築の仕事をしているときに大切にしていることが三つあるのでお伝えします。

一つ目はどこに作るかです。

今回の授業でもそれぞれのチーム毎に異なる場所に秘密基地を作ってもらいました。景色が良いところに建てるので、出入り口を見晴らしの良い方に向けたチームがあったり、風が強く吹く場所に建てるので風を受けにくいように壁を工夫したチームがあったり、生えている木を骨組みの一部にしたチームがあったり、作る場所が少し変わるだけで、全く違った秘密基地が出来ましたね。これはみんなが生活している様な建物を作る時も一緒です。どのくらい暑く寒い場所なのか、陽の光がどこから入るのか、そこからどの様な風景が見えるのか、その土地の事を調べてその場所に一番あった建物を作ることを心がけています。

二つ目はどの様な材料を使うかです。

秘密基地を作る時もみんな取りやすい場所や出来るだけ近くから材料を取ってきたとおもいます。長い距離材料を運ぶと疲れちゃいますよね。実際に建物を作るときも同じで、遠くから材料を持ってくるよりも出来るだけ近くで取れる材料を使った方がみんな疲れずに済みます。昔の建物を見るとよくわかりますが木材や土、藁(わら)など近くで採れたり、近くで作った材料を使って作っています。遠くの誰かを疲れさせるのではなく、無理なく自然な作り方をしたいと考えています。

三つ目は誰と作るかです。

ボスは普段お客さんと一緒に建物を作ることが多いです。お客さんがこれから使うのだから、建物の成り立ちを知る事はとても大切だと考えるからです。そういう理由で一緒に作って来たのですが、建築のプロじゃない人と一緒に作る事で沢山の発見があるのです。

今回は三年生みんなと一緒に作りました。作った週の日曜日に秘密基地を広く改造して、ピクニックしている人たちもいました。一面に生えていたはずの彼岸花が全てなくなって秘密基地に飾られていて驚きました。一緒に作る人の個性や思いつきで建物は大きく変わります。その後どのように建物が使われるかも一緒に作る人にかかってきます。楽しく作れると必ず良い建物になるので今回も三年生のみんなと一緒に素敵な秘密基地が沢山出来たとおもいます。

色々な事を気にしながら作らなくてはいけないので大変な仕事ですが、ボスが普段建築の仕事をしているときに大切にしている事をみんなにも知ってほしいと思い、今回の様な授業を行いました。少しでも建築に興味を持ってもらえたでしょうか。みんなが進路を選ぶときにこの授業の記憶と共に「建築」という言葉を思い出して、建築という仕事が選択肢の一つになってくれたらボスはとても嬉しいです。いつか一緒に働けるといいですね。

文章:宮原翔太郎/写真:鹿野芸術祭実行委員会

鹿野芸術祭は3years Program。

鹿野芸術祭 2020→2022は「鳥取夜景」「鹿野採話集」を中心に 3年をかけて作品を制作し、発表していくプログラムです。
鳥取のさまざまな場所でフィールドワークしながらリサーチを重ねた 一年目。二年目となる今年はワークショップを中心にみなさんと さまざまな作品づくりを進め、そして来年、これまでの集大成として 発表の場所を作ります。
「いまアートを通じて人と人とがどうつながるか」その新しい答えを、 参加するみなさんといっしょに見つけながら、作っていきたいと考えています。

鹿野芸術祭は3years Program。

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|主 催|鹿野芸術祭実行委員会、
西いなば工芸・アート村推進事業実行委員会
|共 催|鳥取県
令和3年度文化庁 文化芸術創造拠点形成事業、令和3年度鳥取県工芸・アート村推進事業
|助 成|公益財団法人 エネルギア・文化スポーツ財団

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